ニュース 米国業界誌EETimesに弊社社長 南のIoTプラットフォーム化に関する寄稿が掲載されました

2023.11.02 掲載記事
米国業界誌「EETimes」に弊社社長 南による産業用IoTプラットフォーム化に関する寄稿が掲載されました。
Using an LSI Hub to Speed Delivery of Customized IoT Solutions - EE Times
https://www.eetimes.com/using-an-lsi-hub-to-speed-delivery-of-customized-iot-solutions/

【ご参考:日本語訳】

各社各様IoTソリューションの開発期間短縮にはハブ役となるLSI活用が有効

ザインエレクトロニクス 代表取締役社長 南 洋一郎

インダストリー4.0やスマート・ファクトリーが継続的に拡大することで、製造業に革新をもたらされ、安全性、信頼性、生産性、効率性、機能面や性能面で向上していくことが期待されています。一方で、産業用IoTシステムの導入にあたっては、各社毎にIoTシステムに対するニーズが異なるため、設計者は顧客毎に開発工数を割かなければなりません。

IoTシステムは、その目的となるアプリケーション実現のために個別にサブシステムとセンサーなどの部品を構成しなければなりません。IoTシステムベンダーにとっては顧客ごと別々にカスタマイズしてソリューションを開発するためには、各々数ヶ月を要することもあります。スマート・ファクトリーを立ち上げる際には、センサー、ロジック、電源など全てが連携して機能するために、あらゆる要素を考慮しなければなりません。このため、ある顧客のアプリケーションに最適化されたIoTシステムを他の顧客向けに横展開することは難しいのです。

 

LSI活用による産業用IoTシステムのオーダーメイド容易化

ザインエレクトロニクスのお客様の中には、LSIをハブとして活用ながら最適化された産業用IoTシステムを構築することにより、IoTシステムのプラットフォームとして活用されるお客様がいます。プラットフォーム化することで、スケーラブルでモジュール化されたアプローチが可能になり、IoTシステムをカスタム開発するニーズに応えると同時に、カスタム開発にかかる時間とコストを削減することができるのです。

例えば、半導体製造装置メーカーのお客様はファウンドリー企業各社に装置を開発提供していらっしゃいます。半導体の製造工程では類似のシステムが使用されますが、製造工程の現場が必要とするセンサー、アクチュエータ、制御プロトコルなどは工程や手順に違いがあるため、標準化することは難しいのが実情です。使用される機能部品や、産業用IoTシステムにどのような入出力信号が必要なのか、実際の製造ラインで必要となる入出力信号は顧客ごとに異なります。
そのため一般的には、顧客の仕様に合わせた専用の電子回路を搭載したIoTシステムをカスタム開発することが多くなり、一つのIoTシステムの開発に数ヶ月を要することもあります。
これに対して、ハブ役となるLSIを活用することで、複雑な電子回路のカスタム設計なく、オーダーメイドで容易にIoTシステムを開発することが可能となります。また、このようなLSIを利用することで、特定の半導体製造装置をプラットフォームとして、スケーラブルにIoTシステムを構成することが可能となるのです。

 

産業用IoTのプラットフォーム化

このようにプラットフォーム化されたIoTシステムの恩恵を受けるのは、半導体製造装置メーカー以外にも、物流倉庫向けスマートロボット、工場向け無人搬送車、インテリジェント自動販売機、高度計測機器、分析機器、検査機器などのベンダーや、同様の課題や問題を抱える製造装置メーカーなどがあります。LSIをプリント回路基板(PCB)上の共通部分にあるセンサーのハブ役として利用することで、生産性を飛躍的に向上させ、顧客の異なる要求にかかわらず、製品開発を標準化することができます。


LSIをハブ役に活用したプラットフォーム化の効果



こうしたプラットフォームにより、LSIユーザーの皆様は顧客毎のニーズに対応して、センサー、アクチュエータ、制御信号を接続するデータパスをLSI内部レジスタの設定を変更するだけで設定し直すことができ、最適化された多様なIoTソリューションを構築することができます。このようにLSIをセンサーのハブ役として活用することは、弊社がTHCS253/THCS254を今年量産開始したことでLSIユーザーの皆様にとっての具体的な選択肢となりました。

例えば、THCS253を活用すればLSI内部のレジスタ設定を変更するだけで、LSIの各ピンに対して最大32種類のセンサー用入出力と制御信号のための端子を設定することができます。LSIユーザーの皆様は、信号線を追加したり新規回路設計をしたりする複雑な工数もなく、容易かつ柔軟にシステムの変更や拡張を行うことができます。IoTシステムベンダーにとって、プラットフォーム化は、重要なサブアセンブリに影響を与えるコストや、製品サイズの決定、品質の確認、システムの信頼性の保証といった重要な観点からも大きな価値をもたらします。例えば、THCS253であれば、非同期で速度も異なる32ラインのセンサー信号を差動2ペアにシリアライズすることができ、ケーブルの本数を最大88%まで大幅に削減することができます。

今後、IoTシステムは、高度な人工知能 (AI) が社会や産業でより多く利活用され、深く社会実装されることで、ますます進化していくと考えられます。こうした中で、LSIをセンサーのハブ役として活用する選択肢も、社会的な要請がより発展し高度になるトレンドに対応して、また一層進化していくものと考えられます。

以上

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