マルチファンクションプリンタ(MFP/複合機)には、一部機種にて本体横に取り付ける、サドルフィニッシャーと呼ばれる外付けの機器が用意されています。フィニッシャーはステープル/パンチ/中綴じ/折り/ソート等、用紙加工の様々な機能を持ち、多様な後処理オプションを提供しています。
 フィニッシャーが提供する加工機能を支えるのは多くのモーターとセンサです。一般的な構成としては、フィニッシャー部にもプロセッサ(マイコンなど)を持ち、そこから各機能のブロックに指示を出している形となります。
 一例ではありますが、フィニッシャー部のプロセッサはMFP本体のメインプロセッサ(SoCなど)とUARTにて接続され、フィニッシャー部のプロセッサから指示信号を各ブロックのセンサやモータードライバへ伝送します。各機能のブロックは、ステープルブロック、パンチブロック、ソートブロック等多岐に分かれており、フィニッシャー部プロセッサからの伝送信号配線本数はかなりの数になります。GPIO本数が200本以上にもなる機種もあり(図1)、これらすべてを基板間で配線するとケーブルコスト高となったり、配線距離に柔軟性がなくなったりいたします。 


図1 <BEFORE>フィニッシャー部プロセッサ - 各ブロック部主要構成例


 これをシリアル・トランシーバICであるTHCS253を使って解決したのが図2になります。
 フィニッシャー部プロセッサから出力されるGPIO信号を一旦THCS253に入力、そこで信号を束ねてシリアライズし、各機能ブロックが載った基板に搭載されたTHCS253に伝送する、という構成をとることで、THCS253間は2ペアの差動信号ライン(4本)にまとめることができます。THCS253は双方向伝送に対応しているため、センサからのフィードバックも同じ2ペア差動信号ラインに載せて伝送が可能です。
 センサの数だけ配線されていたケーブルの本数が劇的に少なくなり、システムのトータルコストを下げることができると同時に、配線距離にも柔軟性を持たすことができます。結果、設計工数削減を実現します。
図2 <AFTER>THCS253を使用しフィニッシャー部プロセッサからの配線本数を削減