ニュース 複雑化が進むDXシステム配線を簡素化するシリアル・トランシーバ量産開始のお知らせ

2023.07.18 リリース
複雑化が進むDXシステム配線を簡素化するシリアル・トランシーバ量産開始のお知らせ
~IoTセンサーやDX制御の配線を簡素化、コスト・サイズ・ノイズ削減、拡張性拡大にも貢献~

当社は、高速インターフェースや画像処理分野で世界をリードするミックスドシグナルLSI企業ですが、DXの社会実装が進む中、センシングやDXシステム制御に必要な配線の統合化・簡素化を可能にするシリアル・トランシーバ新製品THCS253/THCS254を開発し、量産出荷を開始しましたのでお知らせ致します。
今回、量産開始した2製品は、センサー信号やDX制御信号を束ねるIOHA:B(アイオーハブ)シリーズ新製品です。DXシステムの基板間伝送信号を統合する自由度を抜本的に高めたことにより、従来より柔軟・簡便に配線を統合化・簡素化でき、システム実現に必要なケーブル・コネクタ数を削減し、コスト削減、サイズ・機器重量削減、製造工程の生産性向上に貢献するとともに、将来、センサーや制御方法を追加するニーズに対しても拡張性を持たせられるといった特長があります。

高度に多機能センシングを行うIoTシステムにおいては、一般に非同期で速度も異なる複数センサーを取り扱うために各センサー信号に対応した個別信号用ケーブルが必要となり配線が複雑化しますが、シリアル・トランシーバ製品を用いることで、シリアライズ機能により伝送路を束ねて統合化することができます。例えば、THCS253であれば、ケーブル34本のセンサー信号配線・制御信号配線を2ペア(4本)のみに集約してケーブル本数を最大88%削減できます。対応コネクタも不要となり、コスト、システム基板サイズ、システム機器の重量を削減し、多配線による放射ノイズも抑制できます。

例えば、ドローンなどバッテリー駆動機器に適用すれば本体を軽量化できるため、同じバッテリーで、より長時間の使用が可能となります。また、システム基板上のコネクタなど部品点数の減少に伴い、通信基板間の接続作業も簡素化できるなど、システム機器の製造工程の生産性を高められるとともに、コネクタのピン数削減などにより機器信頼性の向上にも貢献します。

コンパクトで高性能が求められるインクジェットプリンタやプロジェクタなど民生機器に適用すれば、機器内で太く幅を取るFFCケーブルのスマート化により、設計自由度向上と一層の小型化実現が可能です。測定機器、分析機器、解析装置、検査装置、製造装置、3Dプリンターなど産業機器に適用すれば、各種センサーと制御基板を接続する高価な細線同軸ケーブル数を抜本削減し、製造原価低減、重量やサイズのコンパクト化を実現できます。

さらに、シリアル・トランシーバ製品は受信回路に伝送信号を波形整形する機能を搭載したことにより、通常1m程度しか伝送できない信号伝送ケースでも10m程度まで伝送距離を延長することができ、工場や物流サイトにおける柔軟なレイアウトが可能となります。

新製品THCS253/THCS254はこうしたシリアル・トランシーバ製品としての基本機能に加えて、DXシステムを将来拡張性のあるプラットフォームとして設計共通化できる点にも特長があります。特に、設置済のDXシステムにセンサーを新規追加したり、センサー群の構成や制御方法を変更して機能追加したりする場合、通常はハードウェアの再設計が必要となり時間とコストがかかりますが、本製品を使用するDXシステムでは、機能追加の際に、本製品の内蔵レジスタ設定を書き換えるだけで、センサー信号と制御信号も含めた信号伝送路の変更が可能となり、新たな回路の設計もプリント基板の設計変更も回路設計工数がかかるFPGAも全て不要です。また、最大2系統までのI2Cに対応し、物流倉庫ロボット、工場内無人搬送車 (AGV)、工作機械ロボット、自動販売機などに適用する場合、システムLSIを搭載する本体基板と、センサー、タッチパネル、近距離無線通信機能などを搭載する個別機能基板とで、それぞれに異なる制御信号系統が必要になる場合にも対応することができます。

GPIOとして準備されたTHCS253の32端子またはTHCS254の20端子に対して、1端子毎に入出力信号設定ができるため、従来に比べて抜本的に簡素で柔軟なDXシステムの拡張変更が可能となります。急な設計変更や機能追加や将来のモデルチェンジに対しても、プラットフォームを共通化して柔軟に機能の追加や変更に対応することができます。

さらに、THCS253/THCS254はDXシステムの信号伝送を行うプリント基板間で異なるクロック信号で動作できる「非同期モード」を備えています。AIで属性識別・画像認識するAIセンシング基板と本体制御基板など基板毎に異なるクロック信号で動作させるAIセンシング機器にも適用でき、基板間で双方向に高速に画像・映像信号を伝送することなども可能になります。外部供給クロック信号にも対応するほか、各基板に搭載したTHCS253またはTHCS254の内蔵クロック発信回路から供給することもできるため、DXシステムの特性に合わせた柔軟な設定が可能となります。


 
シリアル・トランシーバTHCS253/254の写真

■THCS253/THCS254の主要な特長
  • 最大32ビットのGPIO を準備
  • 2対の差動信号による全二重通信
  • スタンバイ時に6mA低消費電力下で
  • I2Cと最大8ビットの信号伝送が可能
  • 2線シリアルインターフェースから
  • パラレルGPIO へのI/O拡張機能
  • 適応型イコライザは高損失伝送媒体に対応
  • 8B10Bエンコーディング/デコーディング
  • 入力出力双方にデジタルノイズフィルタを設定可能
  • エラー検知と通知
  • 外部基準クロック周波数:9-133.3MHz
  • スペクトラム拡散クロックジェネレータ (SSCG) 搭載によるEMI 抑制
  • 単一電源供給動作:1.7 V - 3.6 V
  • 広いIO 電圧範囲:1.7V - 3.6V
  • 動作周囲温度範囲:-40°C to 85°C
  • パッケージ: THCS253 QFN64 (9mm x 9mm)、THCS254 QFN48 (7mm x 7mm)

※「IOHA:B」、「V-by-One」はザインエレクトロニクス株式会社の登録商標です。
ご注意:本文中における各企業名、製品名等は、それぞれの所有者の商標あるいは登録商標です。

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