ニュース 世界初VCSEL対応DSPレス光半導体実現のお知らせ
2024.09.10 リリース
世界初(注1)VCSEL(注2)対応DSP(注3)レス光半導体実現のお知らせ
~次世代通信規格PCI Express6.0対応超高速PAM4(注4)64Gbpsチップセットを実現、
消費電力60%削減、レイテンシ90%低減による省エネ・低遅延化への貢献~
当社グループは、高速インターフェースと画像処理技術の分野で世界をリードするLSI事業とAI・IoTソリューションを提供するAIOT事業、AI用GPU搭載機等サーバー提供事業を3本柱に事業展開していますが、この度、データサーバのデータ伝送の次世代通信規格PCI Express 6.0に対応した超高速PAM4 64Gbps通信用光半導体チップセットを実現しましたので、お知らせいたします。
本チップセットは、消費電力の大きい光通信用DSPを不要とする世界初のVCSEL対応光半導体であり、本チップセットを適用する光通信線路の消費電力を60%削減し、光DSP処理で生じる遅延をゼロ (光通信線路として90%削減) とする効果が期待されます。
本開発成果は2024年9月23日から9月25日にドイツのフランクフルトで開催されるヨーロッパ最大の光通信技術展ECOC2024 (https://www.ecocexhibition.com/) に出展しデモンストレーションを行い、今後の営業活動につなげる予定です。
【ECOC2024出展概要はこちら】
今回実現した光半導体チップセットは、次世代通信規格PCI Express6.0に対応し、DSPを不要とする世界初のVCSELドライバとトランスインピーダンスアンプ(TIA)により構成されています。
従来のPCI Expressを用いた高度な光通信には、消費電力が大きいという課題があります。例えば、シリコンフォトニクスが用いられる光通信では外部変調レーザーの消費電力が大きく、既存のVCSELドライバ使用光通信も消費電力が大きいDSPが通常使用されるとともに、DSPのデジタル処理に伴い遅延が生じる課題もあります。
こうした課題に対して、今回実現した光通信用超高速PAM4 64Gbps光半導体チップセットは、当社の最先端アナログ技術を進化させることで、光通信モジュールに加え、エンドポイントASICからも光通信DSPを不要としながらも、正確な信号伝送性能を実現することにより、光通信線路上の消費電力を60%削減という大幅な省エネを実現可能とするとともに、光通信線路のDSPレスを実現することで、DSPのデジタル処理で生じる遅延時間をゼロとし、レイテンシ90%低減を可能としました。
ザインエレクトロニクス株式会社の南洋一郎代表取締役社長は次のようにコメントしています。「生成AIの普及により、データセンターの消費電力は飛躍的に増加しています。今回弊社が実現した光半導体ソリューションにより、データセンターにおける光通信線路の消費電力を60%削減するとともに、遅延時間を90%低減する効果が期待されます。弊社の新技術を通じて、AIサーバー処理のレスポンスタイム向上に貢献できると考えています。弊社では、さらに、次々世代通信規格PCI Express7.0向けの次世代光半導体チップセットも開発する計画です。」
■ 適用例
- 超高速AOC
- 超高速オンボードオプティクス (OBO: On Board Optics) 用モジュール
(注1) PCI Express 6.0向け。2024年9月10日現在弊社調べ。
(注2) VCSEL: Vertical Cavity Surface Emitting Laser (垂直共振器型面発光レーザー)。半導体レーザーの一種であり、小型、高発光効率、低消費電力、高指向性、高速応答性等の特長により、光通信で広く活用される。
(注3) DSP: Digital Signal Processor (デジタルシグナルプロセッサ)。
(注4) PAM4: pulse amplitude modulation 4-level (4値パルス振幅変調)。4種の電圧値を用いたデジタル信号をデータ伝送する符号化方式であり、通常の1と0 (2種の電圧値による表現) を用いた伝送に比較して、1種の信号で2倍の情報を表現することができる。
(注5) AOC: Active Optical Cable (アクティブ光ケーブル)。ケーブル両端に光電変換半導体を搭載し、サーバーからの大容量電気信号をAOC内で光信号に変換して長距離伝送することが可能となる。
* 優れたアイパターン開口: アイパターン(eye pattern)は伝送システム内の信号の品質を評価するために使用される評価手法であり、目のように見える「アイ(eye)」が開いているほど信号の品質が優れていることを示しています。PAM4のアイパターンでは目のように見える 3 つの「アイ」領域があり、今回、明確に開口する3 つの「アイ」が確認され、セキュアで高品質なデータ伝送が行われていることを示しています。
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