ニュース 10Gbps高速信号対応 超低消費電力 汎用リドライバ新製品の量産出荷開始のお知らせ

2018.07.06 リリース
~USB3.1 Gen2に対応可能なシグナル・コンディショニング機能を小型パッケージ化した汎用リドライバ製品~

 当社は、高速インターフェースや画像処理の分野で世界をリードするミックスドシグナルLSI 企業ですが、この度、USB3.1 Gen2のデータ伝送速度である10Gbpsの高速信号に対応可能なデュアル・チャネルのシグナル・インテグリティ(注1)確保を実現する超低消費電力 汎用リドライバ新製品THCX222R10を2018年7月より、PC・モバイル市場を始め、VR (仮想現実) / AR (拡張現実) / MR (複合現実) などの、いわゆるXR市場向けに営業拡販するため、量産出荷することとしましたのでお知らせします。
 
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 昨今の大容量データ伝送を高速に実現するインターフェースは、CML(Current Mode Logic)を高速差動伝送の物理層に用いる方式が採用されています。実際に市場で用いられているCML採用の高速伝送インターフェースの例を挙げると、当社の高速伝送技術V-by-One® HSを始めとして、USB3.1 Gen1、DisplayPort 1.2等(注2)があり、伝送速度5Gbps程度のシグナル・インテグリティを確保する製品として当社から汎用リドライバ製品THCX222R05を製品化しています。一方、同じCML方式を用いる次世代高速インターフェースとして、10Gbps程度の伝送速度を有するUSB3.1 Gen2、Thunderbolt、DisplayPort 1.3等(注3)があり、これらの高速伝送インターフェースは従来の2倍のデータ伝送速度を実現できる反面、伝送路システムの設計者は10Gbps程度の高速信号に対するシグナル・インテグリティ確保という難易度の高い課題に直面します。
 
 今回、量産を開始するTHCX222R10の特徴は、10GbpsのCML採用高速伝送インターフェースに対応するデュアル・チャネルのシグナル・コンディショニング機能(注4)を既存製品THCX222R05と同じ小型の30ピンQFNパッケージ(2.5mm×4.5mm)に搭載した点です。この特徴により、ユーザーはシグナル・インテグリティを改善したいCML採用高速伝送インターフェース伝送路に、小面積の本デバイスを挿入するのみで信号品質改善を図れます。本デバイスのシグナル・コンディショニング機能であるイコライザのゲイン設定は、外部ピンで16段階切り替える仕様であり、ユーザーは入力波形のゲイン補正量を細かく調整できます。このデバイスは3.3V単一電源で動作し、4つの動作モードを準備していることから、インターフェースの動作状況に従いデバイスを適切な動作モードへ切り替えることで超低消費電力も実現できます。
 
 新製品THCX222R10の量産出荷開始に当たり、当社代表取締役社長 高田康裕は次のように述べています。「市場で用いられているCML採用の高速伝送インターフェースの信号品質課題に対し、当社は保有するシグナル・コンディショニング技術を応用し、小型1チップで複数のインターフェース共通の課題を解決する製品ラインナップを準備いたしました。5Gbps向けにはTHCX222R05、10GbpsのCML高速伝送にはTHCX222R10を適用することにより、PC・モバイル用途はもちろん、AR / VR / MRなどの高解像度の情報伝送ニーズにも対応して、通常よりも長距離への情報伝送や、より細いフレキシブルなケーブルによる伝送、より安価なケーブルでの伝送などが可能になります。本製品の市場投入に加え、さらに高速信号対応リドライバの後継製品ラインナップを拡充していくことにより、今後ともV-by-One® HSやCML採用の高速伝送インターフェースを使用するお客様の製品の付加価値の向上に貢献し、お客様の更なるニーズにお応えするソリューションを提供していく方針です。」


■THCX222R10の特徴
・CML対応リドライバ機能 (1入力1出力×2チャネル)
・受信側イコライザ機能 +14.8dB@5GHz
・送信側出力振幅制御機能
・3.3V単一電源駆動
・パッケージ:QFN 30ピン(2.5mm×4.5mm, 0.4mmピッチ, Exposed Pad)

THCX222R10の写真


※「V-by-One」はザインエレクトロニクス株式会社の登録商標です。


(注1) 送信端と受信端の間に構成される伝送路に流れる信号の品質を指す。伝送路としてはプリント基板やケーブルが想定される。
(注2) USB3.1 Gen1の伝送速度は5Gbps、DisplayPort 1.2は5.4Gbps。
(注3) USB3.1 Gen2とThunderboltの伝送速度は10Gbps, DisplayPort1.3は8.1Gbps。
(注4) 信号伝送の高速化と長距離化を達成するために、伝送時に減衰する波形成分を信号送信側と信号受信側において補償する手法。大きく分類すると3つの手法があり、送信側で実施するプリエンファシスとデエンファシス、受信側で実施するイコライザとなる。THCX222R10はイコライザを搭載。

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