ニュース 総務省「電波資源拡大のための研究開発」採択のお知らせ

2022.08.29 リリース
総務省が令和4年度から新たに実施する電波資源拡大のための研究開発に関わる提案公募採択のお知らせ

当社は、総務省が令和4年度から新たに実施する電波資源拡大のための研究開発に関わる提案公募に、国立研究開発法人情報通信研究機構、独立行政法人国立高等専門学校機構徳山工業高等専門学校、国立大学法人広島大学、国立大学法人名古屋工業大学、学校法人東京理科大学と共同で応募しておりましたが、この度当社らの提案が採択されましたので、お知らせいたします。
この度の応募では、研究開発課題「テラヘルツ波による超大容量無線LAN 伝送技術の研究開発」における技術課題「トランシーバ技術の研究開発」について、採択されました。

本研究開発では、第5世代移動通信システム(5G)の電波より1桁高い周波数帯のテラヘルツ波を活用することにより、超大容量無線通信を実現可能とし、将来的に1Tbps(Tera bit per second:1秒当たり1兆ビットの超高速情報伝送速度)の実現を見据えたマルチストリーム無線LAN 技術を確立することを念頭に、アクセスポイント及び端末間を100Gbps 以上で伝送可能かつ実利用環境を考慮した無線通信技術を確立し、新たな周波数帯の利用を促進することにより電波資源の拡大に資することを目標としております。

当社は、中期経営戦略「5G&Beyond-NE」(NE: New Era、新時代)の下、超高速情報伝送技術の確立を通じて、新たなユースケースの実現に貢献していく方針です。
 
総務省報道資料

令和4年度から新たに実施する電波資源拡大のための研究開発の基本計画書(案)に対する意見募集の結果及び提案の公募
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban09_02000430.html

令和4年度から新たに実施する電波資源拡大のための研究開発に係る提案公募(再公募)の結果
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban09_02000442.html

ご注意:本文中における各企業名、製品名等は、それぞれの所有者の商標あるいは登録商標です。
 
<報道機関各位からのお問い合わせ先>
ザインエレクトロニクス株式会社  取締役総務部長 山本 武男
〒101-0053 東京都千代田区神田美土代町9-1  JRE神田小川町ビル3F
  TEL 03-5217-6660 FAX 03-5217-6668
URL: http://www.thine.co.jp E-mail: ir@thine.co.jp

 
(参考)総務省「令和4年度から新たに実施する電波資源拡大のための研究開発に係る提案公募
提案要領 <基本計画書>テラヘルツ波による超大容量無線LAN 伝送技術の研究開発」より抜粋


3.目標
教育分野や医療分野、自動走行などの需要でこれまでにも高精細映像・センシング情報などの大容量通信を前提としたテラヘルツ帯の研究開発が進められてきた。また、世界無線通信会議WRC-19 の結果として44GHz 幅(252~296GHz)等、これまでにない連続する広帯域を含んだテラヘルツ帯において固定業務(FS)と陸上移動業務(LMS)で利用できる決定がなされた。一方で、Society5.0 の実現に向けて超高精細や超臨場感といった、より高品質なコミュニケーションや遠隔制御に必要な大容量映像及びセンシング情報等の伝送技術が求められているものの、無線LAN に代表される技術のように、誰もが手軽に使え、かつ複数のユーザーへ同時に伝送・共有できる超大容量無線技術が確立されていない。また、実用化が進められているミリ波帯では空間多重や高多値変調を用いることで大容量化が図られてはいるが、将来的に1Tbps 級の伝送容量を目指すには、周波数の逼迫を回避しつつ広い周波数帯を活用可能なテラヘルツ帯を用いる必要がある。
本研究開発は、超大容量無線通信が実現可能な広帯域のテラヘルツ帯において、将来的に1Tbps を見据えたマルチストリーム無線LAN 技術を確立することを念頭に、アクセスポイント及び端末間を100Gbps 以上で伝送可能かつ実利用環境を考慮した無線通信技術を確立し、新たな周波数帯の利用を促進することにより電波資源の拡大に資することを目標とする。

4.研究開発内容

(1)概要
本研究開発では151.5~164GHz、209~226GHz、252~296GHz 等の100GHz 以上のテラヘルツ帯における、電波伝搬特性に基づくMIMO 対応多素子アンテナモジュール、アンテナと一体化した集積回路を実現するトランシーバ技術、空間リソース最適化に向けたマルチ周波数協調動作技術を研究開発し、伝送速度100Gbps 以上を実現するとともに、将来的には1Tbps を目指す無線伝送技術を確立する。また、既存無線LAN と同等の同時多接続・信頼性を実現し、IEEE802 等のデファクト国際標準化への対応にも取り組む。

(2)技術課題および到達目標

技術課題
イ  トランシーバ技術の研究開発

課題アの技術課題である高精度な加工技術で造られるMIMO 対応多素子アンテナを用いたテラヘルツ帯による超大容量無線通信の実現には、アンテナの形状や素子構成を考慮したトランシーバを構築し、多素子アンテナと高精度に接続する技術に加え、指向性を制御するためのビーム制御技術を確立する必要がある。しかし、MIMO を前提としたテラヘルツ帯で動作するRF フロントエンド、変復調回路技術、ビーム制御技術及びアンテナとの精密な実装技術は未開拓な技術である。本研究開発で目指すトランシーバの実現には、多素子アンテナの形状に応じて、トランシーバを構成するRF フロントエンド、変復調回路、位相器、アンプ等の最適な配置及び回路要件を確立する必要がある。
そこで本課題では、1Tbps を見据えた超大容量無線通信の実現に必要な、テラヘルツ帯におけるMIMO を想定したトランシーバ技術を確立する。

到達目標
イ  トランシーバ技術の研究開発

課題アの技術課題である高精度な加工技術で造られるMIMO 対応多素子アンテナに精密に接続可能で、MIMO 動作に必要な伝送信号を送受信可能なRFフロントエンド、変復調回路、ビーム制御機能を設計、試作、評価するとともに、MIMO に対応可能なテラヘルツ帯トランシーバ技術を開発する。具体的には、300GHz 帯の波長に対して半波長間隔程度のアンテナに対して、アンテナと一体化可能となる集積回路のアーキテクチャや実装技術を開発する。これら技術開発を経て、ビーム制御角度の目標を60 度(±30 度)とする1チャネル1ストリーム当たり40Gbps 以上のトランシーバ技術の実現し、複数チャネルや複数ストリームの利用によって100Gbps 以上の超高速データ伝送を達成する。
 


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