ニュース AI光コンピューティング向け光半導体技術ZERO EYE SKEW(TM)開発成功のお知らせ

2025.03.18 リリース
~次々世代PCI Express7.0向け超高速2TB/s通信時消費電力80%削減、遅延時間90%削減への重要技術~

当社グループは、高速インターフェースと画像処理技術の分野で世界をリードするLSI事業とAI・IoTソリューションを提供するAIOT事業、AI用GPU搭載機等サーバー提供事業を3本柱に事業展開していますが、データセンターにおけるAI光コンピューティングの実現が間近に迫る中、データサーバのデータ伝送を超低消費電力、低遅延で実現する光半導体のキー・テクノロジーとなる、ZERO EYE SKEWTM技術の開発に成功しましたので、お知らせいたします。
当社は本技術を、2025年3月30日から4月3日に米国サンフランシスコで開催される世界最大の光通信技術展である、2025 Optical Fiber Communications Conference and Exhibition (OFC) に出展し、デモンストレーションを行うことにより、早期のユースケース実現に向けた営業活動を行うとともに、AI光コンピューティング関連企業との協業につなげる方針です。
今回開発に成功したZERO EYE SKEWTM技術は次々世代通信規格であるPCI Express7.0での将来の活用を念頭に、消費電力の大きい光通信用DSP(注1)を不要とするための光半導体のコア技術です。本技術を、光通信光源の中でも高密度化が容易かつ低廉であるVCSEL(注2)を駆動する光半導体 (VCSELドライバ) に適用することで超高速2TB/s通信時の消費電力を80%削減と遅延時間90%削減が可能となり、高密度かつ低コストなAI光コンピューティング用データ通信の実現に貢献するものです。

今回開発に成功したZERO EYE SKEWTM技術をVCSELドライバに適用し、PAM4(注3)通信によってデータ伝送することで、次世代通信規格PCI Express6.0では1TB/s (64レーン時)、次々世代通信規格PCI Express7.0では2TB/s (64レーン時)の超高速性能を光通信用DSPを用いることなく実現することが可能となり、将来のAI光コンピューティング分野で検討が進められているUALink等次世代規格と同水準の超高速通信ができます。

ZERO EYE SKEWTM技術を適用することで、超高速性能の実現、超低消費電力、超低遅延、高密度化、低コストから成るAI光コンピューティング内のインターコネクトに関する各種要請を同時に満足するソリューションの実現が可能となります。
 
※ZERO EYE SKEW(TM)技術を適用することにより、アイパターン開口 (目が開いているように見える黒い部分) が斜めにズレる現象 (Skew発生) が抑制され、優れた信号品質が維持されることが示されています。
(両図とも5-tap FFE (Feed Forward Equalizer) 処理後のアイ開口。)

ザインエレクトロニクス株式会社の高田康裕取締役は次のようにコメントしています。「生成AI活用ユースケースの拡大に伴い、AI光コンピューティングの実現時期が間近と見込まれる一方、そのための光インターコネクト技術を低消費電力、低遅延、高密度化、低コストの要請に応えるための技術的チャレンジも増大しています。こうした中で、ZERO EYE SKEWTM技術を確立でき、その実現可能性を拡大できた意義は極めて大きいと考えます。弊社といたしましては、OFCの場も通じて世界の主要なパートナーとの協業につなげることにより、AI光コンピューティングの早期の実現と利活用に貢献していく方針です。」

【ご参考】2025 Optical Fiber Communications Conference and Exhibition (OFC) 開催概要
会期:2025年3月30日(日)~4月3日(木)
※このうちExhibitionは4月1日(火)~4月3日(木)
時間:10:00~17:00(最終日は16:00まで)
会場:Moscone Center Exhibition Hall
     747 Howard Street, San Francisco, CA 94103, USA (米国カリフォルニア州サンフランシスコ)
当社ブース番号:4963
※フロアプランhttps://ofc25.mapyourshow.com/8_0/floorplan/index.cfm?hallID=AF&selectedBooth=4963

(注1) DSP: Digital Signal Processor (デジタルシグナルプロセッサ)、デジタル処理のための回路。
(注2) VCSEL: Vertical Cavity Surface Emitting Laser (垂直共振器型面発光レーザー)。半導体レーザーの一種であり、小型、高発光効率、低消費電力、高指向性、高速応答性等の特長により、光通信で広く活用される。
(注3) PAM4: pulse amplitude modulation 4-level (4値パルス振幅変調)。4種の電圧値を用いたデジタル信号をデータ伝送する符号化方式であり、通常の1と0 (2種の電圧値による表現) を用いた伝送に比較して、1種の信号で2倍の情報を表現することができる。

※「ZERO EYE SKEW」はザインエレクトロニクス株式会社の商標または登録商標です。
ご注意:本文中における各企業名、製品名等は、それぞれの所有者の商標あるいは登録商標です。
 


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