THine Value 【89%の配線を削減】GPIOや雑多な信号をシリアライズ、長距離伝送するソリューション

2022.07.15
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IOHA:Bはボード/機器間の信号集約と延長が可能なシリパラ変換としてアプリケーションを問わずお使い頂けるシリアルトランシーバICです。物理層のみの変換なので外部制御不要。接続するだけで通信可能です。

IOHA:Bで繋ぐセンサ&制御信号

 35bit I/Oを2ペアの差動信号に集約し全二重の双方向通信を行い、最大89%の省配線効果を実現します。
内蔵適応型イコライザは様々な伝送媒体を使用可能にし、近くても遠くても自動的に最適な信号品質を保ちます。
 I/OのHUBという意味で「IOHA:B」というニックネームをつけました。
図1 IOHA:Bは様々な信号を集約

IOHA:B が課題を解決していきます

■Before:機器内/機器間を行き交う多くの信号線の束をどうにかしたい

 SoC/FPGA/MCUからのIO出力が多い設計では基板間/機器内/機器間の配線がどうしても多くなり、課題が多く出てきます。
課題のキーワードとして挙げられるのは、

多い/太い/大きい/重い/煩雑/短い/頑固/ノイジー

と言ったところでしょう。


図2 Before : IOの多さにつれ基板間配線も多くなりがち
 

■After: IOHA:B+メタルケーブルで設計をすっきり

 それをIOHA:Bを1組置いて頂くことで、雑多なGPIO・低速信号を一度纏めることができ、基板間/機器内/機器間の伝送がすっきりとまとまります。
 まとめられるのは最大35本。これを2ペア(=4本)のケーブルにシリアライズし伝送することで、89%の省配線効果をもたらします。基板間/機器内/機器間の配線が少なくなることで、コネクタもより極数の少ないものが選択できるようになります。
 また、置くだけ簡単接続なところもメリット。基板上で入出力配線および端子のL/Hを設定しケーブルを接続。そして電源を投入するだけで簡単に通信を開始します。レジスタ設定などのソフトウェア制御は要りません。
 最後にIOHA:Bの差動ラインはクロック埋め込み型SerDesになっており、EMIノイズの輻射を抑えることができます。同時に、8B10BコーディングでDCバランスが取れているため、堅牢な伝送を可能にします。
上述を纏めますと、解決のキーワードとして挙げられるのは、

少なく/細く/小さく/軽く/簡単に/長く/柔軟に/静かに

となります。

図3 After : 伝送路をすっきり


IOHA:B の柔軟なサンプリング方式

 信号のサンプリング方法は2つ。
 1つ目の内部OSC方式は、IOHA:Bに内蔵された内部オシレータ信号を使用してサンプリングする方法です。
このモードでは、外部からの基準クロック入力などは不要です。多くの非同期信号入力をオーバーサンプリングしてシリアライズ⇒デシリアライズして出力します。これをマスタ⇒スレーブ、スレーブ⇒マスタの双方向で行います。
 外部REFの入力は不要ですので、電源やセンサのみが搭載されているような基板との双方向通信も可能です。オシレータ周波数は20/40/80MHzから選択可能です(図4)。
 
図4 内部OSCサンプリングで雑多な双方向非同期信号を集約

 2つ目は外部REF方式です。
 こちらは、外部から入力する基準信号にて駆動するモードです。画像信号などの基準クロックに同期した信号をシリアライズして伝送すると共に、並走する制御信号やセンサのフィードバックなどの非同期信号もこの基準クロックでオーバーサンプリングすることが可能です。画像信号とは逆方向に流れる非同期信号も同様に伝送可能です(図5)。外部REFの入力周波数範囲は9~100MHzです。
 

図5 外部REFサンプリングで同期信号と一緒に非同期信号を集約

外部端子で送受信方向をかんたん設定

 I/Oの伝送方向(ダウンストリーム、アップストリーム)は外部端子でかんたんに設定することができます。I/O端子極性を3種類のピンの0/1設定で、6種類から選択を行います(図6、図7)。
 
図6 I/O極性設定の一例(ダウンストリーム18本、アップストリーム17本)
 
 
図7 6種類のI/O極性設定

 

適応型イコライザによる柔軟な伝送路設計

 適応型イコライザは、マスタ/スレーブの各受信端で入力波形を監視しています。
 省配線効果のみを期待した近距離接続の場合でも、省配線効果とともに遠くの基板へのケーブル延長効果も期待した長距離伝送接続の場合でも、あるいはその両方の可能性がある場合でもデバイスの設定をすることなく自動的に最適な通信状態に保つことが可能です。
  また、機器の動作に伴いケーブル部分が可動であったり、スリップリングなど多様な伝送媒体を用いたシステムでのデータ伝送であったりする場合においても、適応型イコライザはその伝送品質維持をサポートします。
 
図8 内蔵する適応型イコライザによるあらゆる伝送媒体に対応
 

ケーブル選択にも柔軟性をご提供

 IOHA:Bの差動ラインは弊社の得意とする高速差動信号であるV-by-One® HSのテクノロジーを使用しております。そのため、V-by-One HSの大きなメリットの1つ「ケーブルを選ばず伝送可能」という点がIOHA:Bにも引き継がれています。IOHA:Bもケーブルを選びません。裏返せば、使用者が使いやすいケーブルを環境や用途によって自由に選択できる、という利点となります。
 図9は産業機器に使われる代表的なケーブルでの優位性比較テーブルとなります。評価項目の中でどれを重視するかで、選択されるケーブルは変わってくるかと思いますが、IOHA:Bはこれらのどれとでも組み合わせ可能です。
 
図9 ケーブル種類ごとの優位性比較

その他さまざまなIOHA:Bの特徴

 IOHA:Bには上述してきました内容の他にも、下記の機能を備えています。これにより、設計に柔軟性を持たせることや、伝送路に堅牢性を持たせることが可能となっております。

・5Vトレラント・バッファ装備(8bit) 
 →設計に柔軟性を
・光変換デバイス・無線変換デバイスとの親和性 
 →フレキシブルな伝送路選択、応用を実現
・SSCG搭載 (EMI低減) 
 →ノイズ抑制で堅牢な伝送へ
・ディジタルノイズフィルタ 
 →ノイズ抑制で堅牢な伝送へ

光高速絶縁伝送として、ヒロセ電機AOCケーブル「BF4M」とコラボレーションした提案も致しております。 光伝送を構築されようとしている方へ最適なご提案となっております。  
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 また、IOHA:Bのデバイスを基板上に置いて頂くだけで伝送路部分が固まります。その後基板上での搭載部品や部品配置が変わっても、伝送路部分はFIXしているため、伝送路を含めた大幅な設計変更を避けることもできます。こうしてIOHA:Bで伝送部分の設計を共通化し、ちょっとした機能や信号線追加のたびに起こる全体的な設計変更から、設計者を開放することができます。  

IOHA:Bシリアルトランシーバラインナップ

 まとめたいGPIOの本数およびパッケージサイズにより2種類の製品をラインナップ。35bit対応のTHCS251と20bit対応のTHCS252があります。
 
図10 IOHA:B製品ラインナップ

 
デザインガイドや評価ボードも揃えております。
こちらよりお問い合わせください。

THCS251システムデザインガイドライン