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開発コラム

LVDSを超えるV-by-OneⓇ HS、 車載機器や医療機器などの汎用インターフェースに活躍の場を広げる

液晶テレビに採用され、いまや「デファクト・スタンダート(事実上の標準規格)」の座をつかんだV-by-OneⓇ HS。しかし、その用途は液晶テレビに搭載する映像/画像インターフェースにとどまらない。V-by-OneⓇ HSはすでに、液晶テレビ以外のさまざまな汎用用途で使われている。

8B10Bの採用で堅牢性が向上

さまざまな高速信号伝送の用途において、V-by-OneⓇ HSの採用が進んでいる理由としては、最大データ伝送速度が4Gビット/秒と高いことも大きな理由である。しかし、それに負けず劣らず、堅牢性が高いことも重要視されている。

高い堅牢性が得られるのは、8B10B変調(符号化)方式を採用しているためだ。8B10B変調は1980年代前半に開発された技術で、1990年代後半のハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)向けインターフェース規格である「InfiniBand」や、無線通信基地局向けインターフェース規格である「CPRI(Common Public Radio Interface)」、「OBSAI(Open Base Station Architecture Initiative)」のオプティカルインターフェースなどでも使われている(図1)。これらアプリケーションでは、エラーは許されない。
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それではなぜ8B10B変調を採用すれば、堅牢性を高められるのか。その理由は大きく2つある。

1つは、8ビットを10ビットに変換し、低周波数帯域を20%制限していることである。言い換えれば、低周波側の20%をカットできる。ISIジッタ(ISI:Inter-symbol interference)は振幅の大きな低周波から振幅が小さい高周波の波形の重ね合わせで発生するためこの効果は大きい。Gビット/秒を超える高速なデータ伝送や伝送路が長くロスが大きい場合、このISIジッターを抑えられるようになり、その分だけ伝送品質が高められる。

もう1つの理由は、ほぼ完全なDCバランスを確保できることである。つまりAC結合を行っても信号品質が変わらない。データコーディング依存の、ベースライン・ワンダーやDCインバランス、キラー・パケット、パソロジカル・パターンといった伝送信号のDCバランスに関する問題を一気に解決できる。

このメカニズムを具体的に説明しよう。8B10B変調では、8ビットの入力データを上位3ビットと下位5ビットに分けて、それぞれに対して3ビットを4ビット(3B4B変換)、5ビットを6ビット(5B6B変換)に変換する。いずれも、あらかじめ決められた変換テーブルに基づいてデータをシンボルへと変換する。 各シンボルは、プラス(+)とマイナス(-)の2種類のコードが用意されている。8B10Bコード表ではこれを「RD+/-(Running Disparity)」と呼ぶ。以前のランニング・ディスパリティがプラスならば次はマイナスのシンボルを、マイナスならば次はプラスのシンボルを出力する。このコード表の変換により、「0」や「1」が5ビット以上連続しないようにするとともに、1と0の数のバランスの不均衡(ディスパリティ)をなくすわけだ。1と0の数の差は±1以内が常に保証されている。このためほぼ完全なDCバランスが確保できるわけだ。

車載カメラなどで採用が進む

V-by-OneⓇ HSを採用する汎用用途の代表事例としては、車載カメラの映像/画像インターフェースが挙げられる。V-by-OneⓇ HSは最大データ伝送速度が4Gビット/秒と高いため、高解像度データや複数のカメラで撮影したデータを1本のケーブルで伝送できる(図2)。コストや重さなどを削減できると同時に、堅牢性も高められるわけだ。
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このほか医療用電子機器やプリンター複合機(MFP)、アミューズメント機器などにおいても、映像信号や画像信号を伝送する用途で活躍している。映像/画像信号を2つのプリント基板の間や、イメージセンサと制御部との間、プリント基板と液晶パネルとの間などでやりとりする用途で使われている。V-by-OneⓇ HSを採用すれば、画素数の増大やフレームレートの向上に対応できる。それだけではない。ケーブルを細くしたり、ケーブル長を延ばしたりすることも可能だ。

具体的な実例を見ていこう。V-by-OneⓇ HSを使ってイメージセンサと制御ボードを接続する場合、ケーブルは銅線の太さが0.32mm(AWG28)や0.25mm(AWG30)のものが使われており、これだけ細くても数mの伝送が可能である。しかも細いため柔らかい。このため電子機器の狭い筐体内でも、簡単にケーブルを取り回せる。

ただし、V-by-OneⓇ HSに対応したSerDesチップのデータシートを見ると、DE(Data Enable、データ・イネーブル)信号やHsync(水平同期)信号、Vsync(垂直同期)信号という信号名が登場する。これは映像/画像データの伝送タイミングを制御する信号の名称だ。このため、「V-by-OneⓇ HSは映像/画像データ専用のインターフェース技術では?」と考えるエンジニアもいるだろう。しかし、実際は違う。8B10B変調方式を採用した一般的なデータ通信向けSerDesチップとして使うことが可能だ。

具体的にはこうだ。まずHsync信号とVsync信号は、使用しなくても構わない。DE(DataEnable)信号は、8B10B変調方式において一般的な「Kコード(K28.5)」の挿入に使う。K28.5はKコードの1つであり、10ビット信号の境界を示す信号として使われている。Hsync信号とVsync信号は使用せず、DE信号を制御信号(K28.5の挿入)として使う。これだけでV-by-OneⓇ HSは、バス・データなどのデータ通信に向けた一般的なSerDesチップとして使える。言い換えれば、V-by-OneⓇ HSは、「8B10B変調方式を採用した最大4Gビット/秒の汎用SerDesチップ」として活用できるわけだ。

これは、高速なシリアル・インターフェースの物理層として、「PCI Express Gen2」に似た存在だといえるだろう。PCI Express Gen2も、8B10B変調を使ったクロック・エンベデッド方式を採用する技術である。違いは、PCI Express Gen2の方が、最大データ伝送速度が5Gビット/秒と若干高く、さらに上位プロトコルに従わなければならない点にある。

従って、V-by-OneⓇ HSは、一般的なデータ通信向けの高速インターフェースとしてフレキシブルに活用できる。加えて、バス・プロトコルに特有のハンドシェーク処理やオーバーヘッドがないことも特徴だ。もちろん、上位層のプロトコルは必要に応じて自由に実装できる。

数多くの対応品を用意

すでにザインエレクトロニクスでは、V-by-OneⓇ HSに対応したさまざまな送信(トランスミッタ)ICや受信(レシーバ)ICを製品化している(表1)。
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LVCMOS入力信号に対応した1レーン当たりの最大データ伝送速度が4Gビット/秒のトランスミッタICとしては、「THCV231」と「THCV235」を用意している(図3左)。クロック周波数は24M~160MHzと広い範囲に対応する。V-by-OneⓇ HSのインターフェースは基本的に1レーンだが、デバイスによって複数レーンの製品もある。必要とする帯域に応じて選択可能だ。
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THCV231とTHCV235の違いはパッケージにある。THCV231は32ピンQFNに封止しており、小型化が求められる電子機器への搭載に向ける。一方、THCV235は、64端子QFNに収めた。これらのトランスミッタICに対応するレシーバICが「THCV236」である(図3右)。出力信号はLVCMOS。パッケージは64ピンQFNである。

LVDSの入出力信号に対応したトランスミッタICとレシーバICも用意している。1ポートのLVDSに対応したトランスミッタICが「THCV233」で、レシーバICが「THCV234」である(図4)。V-by-OneⓇ HSインターフェースは1レーンで、この製品の最大データ伝送速度は3.4Gビット/秒である。
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2ポートのLVDSに対応したトランスミッタICが「THCV215」で、レシーバICが「THCV216」。V-by-OneⓇ HSインターフェースは2レーンであり、最大データ伝送速度は1レーン当たり3.75Gビット/秒である(図5)。
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このほか4ポートのLVDSに対応したレシーバIC「THCV226」も用意している。4ポート対応のトランスミッタICは用意していないが、2ポート出力のシリアライザIC「THCV215/217」を2個並べたり、トランスミッタ回路を集積したASICなどの使用を想定する。V-by-OneⓇ HSインターフェースは4レーンで、最大データ伝送速度は3.4Gビット/秒であるため、総帯域は13.6Gビット/秒(実効帯域は10.88Gビット/秒)と非常に広帯域である(図6)。
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さらに、MIPIⓇ CSI-2入力に対応したトランスミッタIC「THCV241-Q」もある。MIPIⓇ CSI-2信号の入力レーン数は4本で、V-by-OneⓇ HSインターフェースのレーン数は2本である(図7)。車載カメラや監視カメラなどMIPIⓇ CSI-2インターフェースに向けたもので、ケーブル長を延ばしたり、レーン数を減らしたりすることが可能だ。
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V-by-OneⓇ HSは液晶テレビだけでなく、車載カメラや監視カメラ、マシン・ビジョンなどの用途でも、画素数の増大やフレーム速度の向上などが急ピッチに進んでいる。このため、その活躍の場は、今後ますます広がっていくだろう。
※「MIPI®」はMIPI Alliance, Inc.の登録商標です

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