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開発コラム NEW

USBやHDMIなどの高速インターフェースの伝送距離、イコライザ搭載のリドライバ(Redriver)ICで大幅延長が可能に

USBやHDMI、DisplayPortなど、ペリフェラル・インターフェースの高速化が急だ。本連載の1回目では、この高速化の現状を紹介するとともに、得られるメリットとデメリットを解説した。実は、このデメリットがかなり厄介である。データの伝送距離が短くなってしまうので、用途によっては致命的な問題になるからだ。第2回目となる今回は、この問題を解決するリドライバ(Redriver)ICを紹介する。これを利用すれば、伝送距離を大きく延ばすことが可能になる。

原因はケーブルの抵抗成分にあり

USBやHDMI、DisplayPortといったペリフェラル・インターフェースは高速になればなるほど、データを伝送できる距離が短くなってしまう。どうして、こうした現象が起きるのか。原因は、データ伝送に使うケーブルが持つインピーダンスにある。

インピーダンスには、周波数特性が存在する。周波数が高いほどケーブルのインピーダンスは大きくなり、減衰量が増加してしまう。その結果、信号波形の電圧振幅が小さくなったり、信号波形が大幅に乱れてしまったりという現象が発生する。
 

高速になればなるほど減衰量は増える

それでは高速な信号は、ケーブルを使って伝送することでどのくらい減衰してしまうのだろうか。

例えば、データ伝送速度が最大10Gビット/秒の「USB3.1 Gen2」の信号を、直径が0.3211mmのAWG28の同軸ケーブルで1m伝送した場合を考える。このときの規格で推奨される減衰量は、1.25GHzの信号成分において1.4dB、2.5GHzの成分において2.0dB、5.0GHzの成分において3.1dBとなる(図1)。つまり、周波数が高くなればなるほど、減衰量は大きくなるわけだ。
 
次に、信号を送るケーブルを替えてみる。直径が0.2019mmと若干細いAWG32の同軸ケーブルを使って同じ信号を1m送る。この場合、規格で推奨される減衰量は1.25GHzの信号成分で2.2dB、2.5GHzの成分で3.4dB、5.0GHzの成分で4.9dBとなる。これから分かることは、ケーブルが細くなればなるほど、減衰量は増えてしまうことである。言い換えれば、曲げやすく取り扱いやすいケーブルほど、減衰量が大きくなる。

信号の減衰は、細かく見るとDC(低周波)成分の減衰とAC(高周波)成分の減衰の2つに分けられる。DC成分の減衰は、信号振幅が小さくなることに直結する。信号振幅が小さくなりすぎれば、レシーバ回路で受信できなくなってしまう。一方、高周波成分の減衰は、アイパターンにおいて十分な開口が得られなくなるという事態を招く。アイパターンがつぶれると信号を正しく受信できなくなる。DC成分の減衰とAC成分の減衰のいずれも、伝送できる距離が短くなることにつながる。

連続時間リニア・イコライザを活用

こうした問題に対処するためにザインエレクトロニクスは、リドライバ(Redriver)IC「THCX222」を製品化している。

このICは、連続時間リニア・イコライザ(CTLE:Continues Time Linear Equalizer)とドライバを組み合わせたもの。これをペリフェラル・インターフェースの途中に挿入することで、伝送可能な距離を延ばすことができる。

連続時間リニア・イコライザ(以下、イコライザ)の役割は、ケーブルによって減衰してしまった信号成分を、増幅によって元に戻すことにある(図2)。

THCX222では、伝送信号のDC成分とAC成分の両方を増幅するために、それぞれの利得を個別に設定できる。電子機器の設計者がケーブルによる減衰量を測定し、その大きさに合わせて利得を外部抵抗で設定する(図3)。

利得はきめ細かに設定できる。具体的には、64通り(6ビット)の設定が可能だ。「競合他社品に比べて設定数が多い。それだけ最適値に合わせられる」(ザインエレクトロニクス)という。内訳は、DC利得が4通り(2ビット)で、AC利得が8通り(3ビット)である。設定可能な最大値は、Gen2対応のTHCX222R10においてDC利得が+5.2dB、AC利得が+14.8dBである(図4)。

残る2通り(1ビット)は、出力信号の線形性能(リニアリティ)である。飽和してしまう(歪んでしまう)出力信号電圧の高低を選択できる。高い線計性能を選べば、伝送特性を改善できるが、消費電力が大きくなるトレードオフがある。適用するアプリケーションに応じて選択する必要がある。

細いケーブルでも5mの距離延長

THCX222を活用すれば、実際にはどの程度、伝送距離を伸ばせるようになるのか。USB3.1 Gen2の場合で考えてみよう。

前述の通り、USB3.1 Gen2のデータ伝送速度は10Gビット/秒だが、最大周波数成分は5GHzである。THCX222R10は、5GHzにおいて+14.8dBの利得を稼ぐことができる。つまり、+14.8dB分のケーブル長だけ伝送距離を延長できるようになるわけだ。

例えば、直径が0.2540mmのAWG30の同軸ケーブルであれば、規格で推奨される減衰量は5GHzにおいて−3.9dB/mである。従って、14.8dB/3.9dB=約3.8m伝送距離を伸ばせるようになる。ただし実際には、USBトランシーバICのレシーバ回路には、標準仕様の中で+6dB分の利得を備えることが記載されているので、これを含めれば20.6dB/3.9dB=約5.3mの距離延長が可能になる。「仮想現実(VR)/拡張現実(AR)端末では、5m以上のケーブル長に加えて、取り回しやすさが求められる。THCX222を使えば、この要求を満足できる」(ザインエレクトロニクス)。

もちろんTHCX222はUSBのほかに、HDMIやDisplayPortなどにも適用可能だ。ただしHDMIに使用する場合は注意が必要だ。差動インターフェースの入力部に直流成分をカットするキャパシタを接続するとともに、終端抵抗(ターミネータ)も付けなければならない。

なお、ザインエレクトロニクスは、データ伝送速度が20Gビット/秒と高い「USB3.2」規格に準拠したリドライバIC「THCX422」も用意している。USB3.2は、10Gビット/秒の伝送路(レーン)を2つ用意することで20Gビット/秒と高いデータ伝送速度を実現している。THCX422では、1つのチップにTHCX222の機能を2つ集積することでUSB3.2規格に対応した。すでにサンプル出荷を始めている。

より使い勝手が高いパドルカードを用意

今回紹介したリドライバICを使えば、高速なペリフェラル・インターフェースの伝送距離を比較的簡単に延ばすことができる。しかし、対象となるケーブルの伝送特性を測定して、DC利得やAC利得を最適値に設定し、最終的にアイパターンの開口が十分に得られているかどうかを確認するという作業が必要になる。比較的高い専門性が求められるわけだ。

「より簡単にペリフェラル・インターフェースの伝送距離を延ばしたい」。こうした声に応えるため、ザインエレクトロニクスでは、パドルカードや変換アダプタを用意している。これらを使えば、複雑な作業をすることなしに伝送距離の延長が可能になる。どのような製品なのか。その詳細は次節(第3節)に紹介しよう。

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