THine Value 信号減衰の問題を解決し、長距離伝送を可能にする方策とは? USB対応測定器の短TAT開発事例

2019.05.28
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産業用途に向けた測定器や検査機器の開発、製造、販売を手がけるO社。これまで同社の屋台骨を支えてきた測定器の売れ行きが鈍ってきたため、最新技術を採用した新機種の開発に着手した。

課題


売れ筋製品をテコ入れ、新製品開発へ

O社は、産業用途向け測定器メーカーとして、以前は特定の測定分野では他社の追随を許さない強さを誇っていましたが、最新のストレージ機器が使えないことなどから市場シェアを落としていました。
 
そこでO社は、従来機種のテコ入れが急務となり、新機種の開発を決断することに。
 

「USB3.2 Gen2」を採用へ

測定器と言っても、その中身はパソコンにかなり近いといえ、マイクロプロセッサと測定処理用FPGAが中核を成し、Linux OSを使って測定データを処理/管理して、測定結果は外付けのストレージ機器に蓄えます。 測定器の基本構成はほぼすべて、従来機種を踏襲しました。ただし、最新のストレージ装置には、同社のユーザーからの要求が強かった大容量SSD(Soild State Drive)を使えるようにするため、入出力インターフェース「USB3.2 Gen2」に対応したUSBコントローラICを採用しました。
 

アイ・パターンが閉じている・・・

新機種の設計は順調に進み、測定項目を次々に変えてテストしてみますが、問題はないようです。

次に、同社のユーザーから要求が強かった大容量SSDへのデータ格納をテスト。USB3.2 Gen2対応ケーブルをつないで、大容量SSDを接続し、データの読み書きしますが、通信がうまくできていないようです。

原因検証のために、アイ・パターンを測定。いわゆる「マスク・テスト」と呼ばれるもので、アイ・パターンの開口が十分に開いていなければUSB3.2 Gen2の基準をクリアできません。結果は、アイ・パターンがかなり閉じており、基準をクリアできない状況に・・・
 
このままではもちろん、製品化できないため、残されたわずかな開発期間で、基準のクリアに向けた対策を打つ必要があります。つまり、プリント基板の再設計など、大幅な改変に取り組む時間はありません。
 

課題のポイント

①短期間での新機種開発に着手
②最新の高速インターフェース「USB3.2 Gen2」に対応
③アイ・パターンが閉じており、USB基準をクリアできない