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開発コラム

高信頼性の8B10Bコーディングとシグナルコンディショニング技術で、高速・長距離伝送を実現、LVDSを超えたV-by-OneⓇ HS

ノート・パソコンや液晶モニター、液晶テレビの映像/画像インターフェースとして一時代を築いた「LVDS(Low Voltage Differential Signaling) SerDes」。その後継技術が「V-by-OneⓇ HS」である。現在、高解像度の大画面液晶テレビなどでこぞって採用されている。液晶テレビの世界的な普及を縁の下で支える技術の1つと言えるだろう。連載の第3回目となる今回は、V-by-OneⓇ HSの基本原理や、特徴などについて解説する。

液晶テレビが高画質、大画面へ

V-by-OneⓇ HSの特徴は、データ伝送速度が高いと同時に、伝送可能な距離が長い点にある(図1)。

zoom最大データ伝送速度は、1ペアの差動ラインで4Gビット/秒と高い。伝送可能な距離は10m以上に達する。LVDSのデータ伝送速度は、標準規格で定められており、それは655Mビット/秒だった。各メーカー独自の工夫でデータ伝送速度を高められるが、それでも物理層としては3Gビット/秒程度が限界だった。LVDS SerDesでは、クロックとデータのスキューが問題になるからだ。このため、非常に高価なツイナックスケーブルを使っても、最大で5m程度しか伝送できなかった。

いわばLVDS SerDesの「次世代版」であるV-by-OneⓇ HSが必要不可欠になった理由は何なのか。それは、液晶テレビの高画質化と大画面化にある。液晶テレビの画質に影響する特性は大きく3つある。画素数(解像度)とフレームレート、それと色深度だ。いずれも増やしたり、高めたりした方が画質は向上する。しかし、その一方で、画像処理ボードと液晶モジュールのタイミング・コントローラIC(T-CON)間の映像/画像データ量が増大する。さらに液晶テレビを大画面化すれば、画像処理ボードとT-CONがレイアウト上離れてしまい、その距離が長くなってしまう。

映像/画像データの量が増えて、それを伝送するインターフェースの距離が長くなれば、既存のLVDS SerDesではいずれ限界が訪れるのは自明の理だ。それでは、LVDS SerDesとV-by-OneⓇ HSとの切り替えポイントはどこだったのか。そのポイントは、画素数が2K(1920×1080)、フレームレートが120Hz、画面寸法が42インチ超の液晶テレビだった。
 

LVDSでは信号ラインが多すぎる

画素数が2Kで、フレームレートが60Hz、10bitRGBであれば、LVDS SerDesでも十分に対応できた。差動ラインは12ペア、すなわち24本の信号ラインで映像/画像データを伝送できたわけだ(図2)。
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しかし、フレームレートが120Hzに高まると、差動ラインは2倍の24ペア48本に増える。さらにフレームレートが120Hzで画素数が4K(3840×2160)に増加すれば、映像/画像データ量は4倍に増えて、96ペア192本の信号ラインが必要になる。

この4K/120Hz対応における192本という信号ラインはあまりにも多すぎる。一般に、画像処理ボードとT-CONの接続には、50ピン程度のフレキシブル・フラット・ケーブル(FFC)を使う。信号ラインが48本であれば、1本のFFCとコネクタで対応できた。しかし、192本になれば4本のFFCとコネクタが必要になる。(図3)
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zoom通常、FFCは液晶パネルの背面部にレイアウトする(図4)。FFCとコネクタがそれぞれ4個ずつになれば、プリント基板上の実装スペースが大きくなる上に、部品コストも上昇するというデメリットがある。一般に、コネクタのためにプリント基板の実装スペースは広げたくない。

さらに、画面寸法が42インチ程度に大きくなると、画像処理ボードとT-CONの距離は50cm~70cmと長くなる。LVDS SerDesでは、信号振幅の減衰や信号間のスキューが問題になり、正しく伝送できなくなる可能性が出てくる。加えて、不要輻射(EMI)の問題も顕在化してくる。もちろん、ケーブルを低損失化してスキューを制御しシールドを施せば、こうした問題に対処できる。しかし、コストが大きく上昇してしまう。


そこで登場したのがV-by-OneⓇ HSである。LVDS SerDesをV-by-OneⓇ HSで置き換えれば、1ペア当たりのデータ伝送速度が最大4Gビット/秒と高いため、4K/120Hzの場合でも16ペア32本で済む。つまり、1本のFFCと1個のコネクタで映像/画像データを伝送できる(図5)。
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FFCの実装が簡単になり、プリント基板やパッシブ部品のコストを抑えられる。また不要輻射ノイズも少なく、安価なFFCを使っても、1mを超える距離をエラーなしで通信できる(図6)。従って、液晶テレビの画面寸法が大きくなっても、データ伝送上の問題は発生しない。もちろんコネクタにも汎用FFC向けが使える。
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2つの基本技術で実現

こうした高い伝送特性を備えるV-by-OneⓇ HS の実現技術を以下で説明しよう。技術的なポイントは2つある。

1つ目は、データ信号とクロック情報を1本の信号ラインで送るクロック・エンベデッド方式を採用したことだ。LVDS SerDesでは、データ信号とクロック信号を別々の信号ラインで送っていた。いわゆるデータ・クロック別送方式である(図7)。

zoomこの方式ではパラレルバス同様、レシーバ側は受け取ったクロック信号のタイミングでデータ信号を受信していく。ただし、この方式には課題がある。伝送速度が高くなったり、伝送距離が長くなったりすると、データ信号とクロック信号の間のスキューが大きくなることだ。データ信号とクロック信号の受信タイミングがずれれば、データを正しく受信できなくなってしまう。

一方のクロック・エンベデッド方式は、シリアルデータ信号の中にクロック情報を埋め込んでおき、レシーバのCDR(クロック・データ・リカバリ)回路でクロック情報を抽出してデータ信号に同期を掛けて受信する。

この方式であれば、伝送速度が高くなったり、伝送距離が長くなったりしても、データ信号とクロック信号の間にスキューはまったく発生しない。このため高速かつ長距離の伝送に対応できるわけだ。

zoomV-by-OneⓇ HSでは、クロック・エンベデッド方式を実現する手法として8B10B変調方式を採用している。これは、8ビットのデータを10ビットのデータに変換して伝送するものだ(図8)。

追加する2ビット分のデータは、制御コードの伝送や、信号品質を高めるためのランレングスの制限、DCバランスの確保などに使われる。

ここで多くの方が、「8B10B変調では、8ビットを10ビット信号として送るため20%のオーバーヘッドがある。このため高速化には不向きではないか」という疑問を持つはずだ。確かに、プラスする2ビットは冗長であるように思われる。しかし、この2ビットのおかげで、シンボル間干渉(ISI:Inter Symbol Interference)ジッタを低減できる。つまり、8B10B変調を実行することで、「0」と「1」の信号の連続数(ランレングス)を最大5個に制限でき、20%以下の低周波成分を取り除ける。さらに「0」と「1」のデータの個数を均等になるように制御できる。従って、高速データを長距離伝送する場合、図9のようにアイの開口を確保しやすくなり、4Gビット/秒と高いデータ伝送速度でも高品質な伝送特性が得られるわけだ。
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2つ目は、シグナルコンディショニング技術を導入したことである。具体的には、トランスミッタにプリエンファシス技術を、レシーバに適応型(アダプティブ)イコライザ技術を適用した。

プリエンファシス技術とは、データを伝送することで減衰してしまう高周波成分をあらかじめ増幅して送出するもの。一方、適応型(アダプティブ)イコライザ技術は、伝送路で減衰してしまう高周波成分を、伝送路の特性に応じてレシーバにおいて自動で増幅する技術である。いずれの技術も伝送特性の向上に寄与する(図10)。データ伝送速度を高められると同時に、伝送距離を延ばすことが可能になる。
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V-by-OneⓇ HSは、8B10B変調方式とシグナルコンディショニング技術を適用することで極めて高い伝送特性を実現した。この結果、高解像度で高画質の液晶テレビにおける映像/画像インターフェースの「デファクト・スタンダード(事実上の標準規格)」の座をつかんだ。ただし、極めて高い伝送特性を必要とする電子機器は液晶テレビや液晶モニターだけではない。さまざまな電子機器が必要としている。そうした電子機器では、どのようにすればV-by-OneⓇ HSを使いこなせるのか。その詳細は次回で解説しよう。
 

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