LVDS SerDesの基本原理を詳説、 高速、長距離、低ノイズの特徴を生かす [後半]

スキューやコモンモード電圧に強い

現在、LVDS SerDesは、さまざまな製品を入手できる。ザインエレクトロニクスの製品ファミリーを例にとり、具体的に紹介しよう。図5は、LVDS SerDesの基本構成である。
 
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シリアライザへの入力信号は、データが7ビット×4本=28ビットである。これらのデータをシリアルのLVDS信号に変換して、デシリアライザに送る。加えて、クロック信号も別に送る。デシリアライザでは、送られてきたクロック信号を使ってタイミングを調整して、データを受信し、7ビット×4本のLVDS信号をTTL/CMOSデータに変換して出力する仕組みである。ザインエレクトロニクスが提供しているLVDS SerDes(表1)の特徴としては、以下の6つの点が挙げられる。
 
表1 LVDS SerDesの製品一覧 (一部抜粋)
    TTL/CMOS in, LVDS out LVDS in, TTL/CMOS out
8bit
RGB
Single Link
THC63LVDM83D
THC63LVDM83E [小型]
THC63LVDM87 [小型]
(1.8V Power Supply)
THC63LVDF84C
(Falling Edge)
THC63LVDR84C
(Rising Edge)
Dual Link
THC63LVD823B THC63LVD827 [小型]
(1.8V Power Supply)
   
10bit
RGB
Single Link
THC63LVD103D THC63LVD104C
Dual Link
THC63LVD1023B THC63LVD1024

1つは、3.3V動作の一般的な製品のほかに、シリアライザにおけるLVDS規格を順守しつつ1.8Vの低電圧動作品も用意していることだ。通常、電源電圧を低下させると、LVDS規格で定められている1.2Vの出力コモンモード電圧(Voc)を守ることが厳しくなる。競合他社の低電圧品では、Vocが1.2Vよりも低くなってしまうものが少ない。しかし、ザインエレクトロニクスの「THC63LVDM87」や「THC63LVD827」は、1.8V動作の低電圧化を実現すると同時に、出力コモンモード電圧(Voc)を受信側のデシリアライザにとって最適な1.2Vを維持している。

2つめは、シングルリンクとデュアルリンクに対応した各種製品をラインナップしていることである。例えば、RGB各10ビットの画像信号伝送に対応したシングルリンクのシリアライザ「THC63LVD103D」とデシリアライザ「THC63LVD104C」のデュアルリンク版がシリアライザ「THC63LVD1023B」とデシリアライザ「THC63LVD1024」となる。デュアル品を使えば、データ伝送帯域を簡単に広げられる。例えば、シングル品では1080Iまでしか対応できないが、デュアル品を使えば1080Pへの対応が可能になる。さらに、RGB各8ビットのデュアルリンク品も用意しており、具体的な製品にはシリアライザ「THC63LVD823B」やデシリアライザ「THC63LVD824A」などがある。これらの製品は、基板間や筐体内のバス幅が広いデータ通信用途に適用可能だ。

3つめは、データを取得するタイミングを立ち上がりエッジと立ち下がりエッジのいずれかを選択できる製品を用意していることだ。液晶パネルなどの用途は、立ち下がりエッジを利用するが、一般的なデータ伝送に使うシリアル・インターフェースでは、立ち上がりエッジを使う。製品型番にLVDRの「R」が付く製品は立ち上がりエッジに、LVDFの「F」が付く製品は立ち下がりエッジに対応する。「LVDM」や「LVD」が付く製品は、両方に対応しており、ピン設定でいずれか一方を選択できる。

4つめは、リピーターICも製品化していることだ。型番は「THC63LVD1027」である。リピーターICを使えば、LVDS SerDesから出力された信号を一度受信して、ケーブルなどで発生したスキューやジッタを吸収し、電圧軸と時間軸とも理想的な状態に整形したLVDS信号を再び送信できるようになる(図6)。
 
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こうすることで、データの伝送距離(ケーブル長)を大幅に伸ばすことが可能だ。伝送路の中間に置くことで伝送距離(ケーブル長)は2倍に延ばせる。さらに、今まで困難だった1チャネルの画像信号入力を2チャネルに分配して出力するLVDS SerDesの信号分配も可能になる(図7)。
 
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5つめは、対応するクロック周波数範囲が8M~160MHzと広いことだ。例えば、「THC63LVD103D」などが広いクロック周波数範囲に対応する。周波数範囲が広ければ、さまざまなパラレル・バスに適用できるようになる。その分だけ設計柔軟性が高まるわけだ。

6つめは、LVDSの出力をさらに低振幅とした製品を用意していることである。前述のように、LVDS SerDesは一般に、3.5mAの電流源と100Ωの終端抵抗を使う。このため振幅は350mVになる。LVDS低振幅モードのRS(Reduce Swing)を使用すると振幅を200mVに低減できる。このためEMIを抑え低消費電力化も可能になるわけだ。

このほか、カメラモジュールなどの小型電子機器への搭載に向けて実装面積が5mm×5mmと小さい49ピンVFBGA封止品を用意していることや、車載機器などに向けて動作温度範囲が−40~+105℃と広い製品を用意していることも特徴に挙げられるだろう。

以上のようにザインエレクトロニクスは、数多くのLVDS SerDes製品を用意することで、さまざまなアプリケーションへの対応を可能にしている。しかし、LVDS SerDesだけで、すべてのシリアル・インターフェースをカバーできるわけではない。4Kの倍速やディープカラー、8Kといった高解像度信号、また高速で伝送距離が必要なアプリケーションに対応することは困難だ。そこでザインエレクトロニクスでは、より高速なシリアル・インターフェース技術である「V-by-OneⓇ HS」を用意している。3回目となる次回は、V-by-OneⓇ HSの基本原理や、その製品ラインナップなどを解説しよう。


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