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ザインエレクトロニクスに集う社員の熱い思いを語るコラムやストーリー、
また、これまでお客様にご評価いただいたソリューションの一部をご紹介します。

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幅広い用途で手軽に使える8B10Bシリアルトランシーバ、双方向データ通信の省配線や長距離化、光化、無線化に向く

「少し長くなった生産ラインをカメラでモニターするため、高速インターフェースの伝送距離を延ばしたい」「小型端末を機器本体から着脱できるようにするため、高速インターフェースを無線化したい」「1km程度離れた拠点をカメラで監視するため、高速インターフェースを光ファイバ化したい」・・・。 最近になって、産業機器やOA機器、セキュリティ/監視機器などの用途では、こうした要望が増えているという。背景には、CMOSイメージ・センサーを採用したカメラが手軽に使えるようになったことに加えて、IoT(Internet of Things)への取り組みの強化によって多種多様のセンサーで多地点を計測する用途が増えていることなどが挙げられるだろう。

手軽に使えるトランシーバ

ザインエレクトロニクスは、こうした要望に比較的簡単に応えることができるトランシーバIC「THCS251」を開発し、すでに販売を始めている。同社は「シリアルトランシーバ」、もしくは「8B10Bトランシーバ」と呼ぶ。

このシリアルトランシーバICは、トランスミッタ(送信器)とレシーバ(受信器)を1チップに集積したもの。1組のIC間を接続する伝送ラインは2組の差動ラインだけで、これらがアップリンク(上り)とダウンリンク(下り)として機能する(図1)。
 
図1 THCS251を使った伝送システム

データ伝送速度は上り下り合わせて最大4.67Gビット/秒と高い。フレーム・レートが30フレーム/秒までであれば、フルHD(1920×1080画素)の映像を送ることができる。しかもアップリンクとダウンリンクは、同時にデータをやり取りすることが可能だ。つまり、1つの伝送ラインを使って送受信を交互に行う半二重通信ではなく、全二重通信を実現できることになる。

このシリアルトランシーバICは、どのように使うのか。最大35ビットのパラレル入出力(I/O)端子を備えており、これを介して12ビットの画像信号や、カメラ向け制御信号などを入力する。さらに、I2Cバス信号を入力することも可能だ。つまり、高速な画像信号や、低速な制御信号、I2Cバス信号などをただ単に入力するだけで、内蔵したシリアライザ(8B10B符号化回路)が自動的にシリアル化し、2組の差動ラインで送受信する。
 
ユーザーがすべき作業は、端子設定ぐらいしかない。ソフトウエアの開発は、一切不要である。しかも。使用するのは、2個のシリアルトランシーバICだけである。これらをそれぞれ双方向でデータのやり取りをしたいボードに実装するだけで済む。ほかのICを外付けで用意する必要はない。

このシリアルトランシーバICを使うだけで、双方向データ通信の伝送距離を15m以上延ばすことができる。光化と無線化も非常に簡単だ。マスター側ではシリアルトランシーバICの後段に、スレーブ側では前段に、光トランシーバ・モジュールを接続すれば光化を実現でき、無線通信モジュールを接続すれば無線化を実現できる。

あるようでなかったトランシーバIC

双方向データ通信の省配線化や、長距離化、光化/無線化を簡単に実現できるシリアルトランシーバIC。特に難易度が高い技術を用いているわけではない。従来から知られていた8B10B符号化/復号化技術を利用しただけである。それなのに、これまで同一コンセプトの製品は広く実用化されていなかった。同社によると、「恐らく、理由は2つある」という。

1つは、従来の高速インターフェース向けトランシーバIC、もしくはトランスミッタIC/レシーバICは、対象となるアプリケーションが明確だったことである。つまり、ASSP(Application Specific Standard Produce)の色彩が濃かったわけだ。このため、今回のように、「どんな用途にも使える汎用品」という発想がほとんどなかった。

もう1つの理由は、これまでは伝送ラインの削減を重視していたことである。半二重通信であれば1組の差動ライン(2本の伝送ライン)に減らせるが、全二通通信は2組の差動ライン(4本の伝送ライン)が必要にある。そこで従来は、伝送ラインの本数が少ない半二重通信が好んで使われていた。ところが半二重通信は、光化/無線化が困難なことや、低速の制御信号のリアルタイム送信が難しいことなどの問題がある。そこで今回は伝送ラインの削減はあきらめ、問題の解決を優先させた。

従来は多大な労力と時間が必要だった

もちろん、双方向データ通信の省配線化や長距離化、光化/無線化の要求はこれまでにもあった。今に始まった話ではない。従来はどうやって対応していたのか。

実現方法は大きく分けると2つあった。1つはFPGAを使う方法である。FPGAを使えば、基本的にどのような要求にも対応できる。しかし、当然ながらハードウエア設計とソフトウエア設計という作業が必要になる。双方向データ通信の長距離化という要求に対しては、プロトコル処理回路や物理層回路などのハードウエアや、入出力設定やスクランブル処理などのソフトウエアの開発が求められる。しかも長距離伝送するために、イコライザー機能をハードウエア、もしくはソフトウエアで実装する必要がある。こうした作業をすべて実行するには、大きな労力と長い時間が掛かる。

もう1つは、高速インターフェースに対応した市販チップを採用する方法である。例えば、ザインエレクトロニクスの製品であれば「V-by-One® HS」対応のトランスミッタICとレシーバICを2個ずつ使えば、上記のような要求に応えられる(図2(a))。具体的には、マスター側とスレーブ側にそれぞれトランスミッタICとレシーバICを実装し、2組の差動ラインで接続する。こうすれば全二重通信で、映像信号と制御信号を送ることができる。

ただし、この差動ラインではI2Cバス信号は送れない。低速双方向通信に対応したSub-Link(1組の差動ライン)機能を搭載したデバイスを適用する選択肢もあるが、Sub-Linkは半二重通信であるため、長距離化には対応できても、光化と無線化は容易ではない(図2(b))。従って、2つ目の対応方法では、要求に完全に応えられない。
 
図2 「V-by-One® HS」対応トランスミッタIC/レシーバICを使ったシステム構成

なおザインエレクトロニクスのほかにも、複数のアナログ半導体メーカーがこうした双方向データ通信に対応したトランスミッタIC/レシーバICを製品化している。いずれも基本構成は同じであり、同様の問題を抱えている。

このほか、低速対応のトランシーバICを使うという選択肢も無きにしも非ずである。これであれば、THCS251と同様にマスター側とスレーブ側に1チップずつ実装するだけで構成できる。しかし、映像信号は送れない。データ伝送速度はせいぜい1Mビット/秒程度にすぎないからだ。従って、この選択肢では、ユーザーの要求に応えられない。

伝送距離延長のデモを用意

ザインエレクトロニクスでは、シリアルトランシーバIC「THCS251」の有用性を周知するために、デモンストレーションを用意している。今回は、そのうちの1つを紹介しよう。

FA用途を想定したデモである。ロボット・アームの先端にカメラを取り付け、離れた場所いるオペレータがその映像を見ながらロボット・アームを制御する(図3)。マスター側とスレーブ側のボードにはいずれもTHCS251を搭載。それぞれのボードは、2組の差動ライン(4本の伝送ライン)でつないだ(図4)。
図3 デモの様子
 
図4 デモのシステム構成

スレーブ側のボードは、ロボット・アームと接続されている。カメラで撮影した映像信号は、THCS251でシリアル化され、1組の差動ライン(ダウンリンク)を介してマスター側のボードに送られる。マスター側のボードでは、映像信号をTHCS251で受信してデシリアライズした後に、マイコンボード(Arduinoボード)を介してパソコンに送ってモニターに表示する。

一方、映像を見てロボット・アームの制御が必要と判断したオペレータは、パソコン上のソフトウエアに制御命令を入力する。すると、その制御信号は、USBインターフェースを介してマイコンボードへ送られ、I2C信号へ変換した後にマスター側のボードに送信して、THCS251に入力される。そして1組の差動ライン(アップリンク)を介してスレーブ側ボードのTHCS251に送られ、デシリアライズされてロボット・アームのドライブ・コントローラに入力される。こうしてロボット・アームの動作を制御する。

デモでは、マスター側のボードとスレーブ側のボードを10mのケーブルで結んでいる。10mのケーブルを使っても、全二重通信が可能なため、パソコンに入力した制御信号は、ほぼリアルタイムでロボット・アームに送り、動作を制御することが可能だ。離れた場所からでも、映像を見ながら、リアルタイムでロボット・アームの動きを微調整することが可能になる。

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